3 監査が機能していない

3 監査が機能していない

内部監査員が内部監査そのものを監査する、というのは現実的ではないため、マネジメントレビュー
などを利用し、自社の内部監査が機能しているか否かについて協議することを勧めます。

「監査が機能していない」という事象は、ISO認証維持が主目的になっている場合に多く見受けられます。
本来業務に係る監査になっておらず、規格要求事項をなぞるように監査する場合です。

JABマネジメントシステム研究会WG2は、「QMS要求事項に偏り、事業プロセスなどマネジメント
システム全体の機能が分散していると、管理が形骸化する恐れがある」と警鐘を鳴らしています。

具体的には、以下の事項を確認すべきとしています。
・規格要求事項だけでなく、組織の規定した要求事項への適合を監査しているか。
・内部監査に対して、トップの意向が反映されているか。
・事業プロセスと関連付けた監査方針、監査結果となっているか。
・内部監査プログラム、計画書にトップの意向を踏まえた、事業全体のマネジメントが含まれているか。
・トップは、事業プロセスにISOのプロセスを取り込み、マネジメントシステムを強化することのメリットを理解し、社内で推進しているか。
・トップは、組織の状況やリスクを踏まえ、マネジメントシステムの統合、強化を具体的に指示しているか。
・トップ審査、内部監査での指示、マネジメントレビューへのアウトプットで、事業プロセスへの統合について、その理解と推進を聞き出しているか。
・内部監査プログラム、内部監査報告書、マネジメントレビューの議事録に事業プロセスとの統合に関する指示があるか。

内部監査の形骸化は多くの組織で見受けられる状況です。
形骸化している組織で見受けられるのは、規格要求事項を第一順位の監査基準にしていることです。
規格では、「組織が決定した要求事項への適合」を重視しています。
このことを指摘しない審査機関にも問題がありますが・・・。

上記以外に見受けられた事例は、「組織が決定した要求事項の中にコンプライアンスが入って
いるが、それについて内部監査項目が欠如していた」というものです。

内部監査員がコンプライアンスの観点で順法チェックするのには限界があるかも知れませんが、
箇条8.2.2 a)1)「適用される法令・規制要求事項」、2)「組織が必要とみなす、製品及びサー
ビスの要求事項が定められている」にフォーカスした監査をすることは重要です。

そのためには、内部監査員に対する順守事項の教育、順法チェックをするために必要な監査時間
の割当を監査プログラムの中で計画する必要があります。

組織の不祥事により、長期間にわたって製造停止をせざるを得ない事例が発生しています。
内部監査において、コンプライアンスの状況を十分に確認し、不正が起こる機会を最小限にする
ことが期待されます。
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※メルマガで配信したコラムを修正・加筆したものです