用語解説10「文書化した情報」

3.10 文書化した情報(documented information)

定義:
組織が管理し、維持するよう要求されている情報、及びそれが含まれている媒体

解説:
附属書SLが発行される前は、「文書」「記録」という単語を用いていましたが、以下の理由から「文書化した情報」という表現を用いるようになりました。

・電子媒体を利用する組織が増えたことから、厳密に「文書」と「記録」を分けて管理すること が難しくなった。
・言語によっては「文書(documentation)」「記録(record)」という単語は、紙媒体での管理を想起
させることがあるため。
・単に「情報」にする案もあったが、これだと管理対象が曖昧になることから、「管理対象の情報」という意味を持たせるために、「文書化した情報」と表現するようになった。

ISOは、「文書」や「記録」を情報の種類として考えています。文書は「計画(やること)」に関する情報、記録は「結果(やったこと)」に関する情報です。管理上の違いは、変更や更新ができるか否かです。文書は変更や更新ができるが、記録は変更や更新ができません。

附属書SLでは、従来の文書や記録を以下のように表現しています。
文書:文書化した情報として利用可能な状態にしなければならない。
記録:・・・の証拠として、文書化として情報を利用可能な状態にしなければならない。

現行(2015年版)の9001や14001では、文書化した情報を「維持する」「保持する」で文書・記録の違いを表現していますが、次回の改訂では附属書SLの表現を用いることが検討されています。

※メルマガで配信したコラムを修正・加筆したものです