ISO/CD 9001の概要説明③

今回は「③リスク及び機会を分けて考える」の概要を説明します。

ISO 9001改訂作業のベースになる設計仕様書の中で、「リスク及び機会」をde-couple(切り離す)
することが検討されているそうです。

この背景としては、「リスク及び機会」の概念が正しく理解され適用されていないところにあるようです。正しく理解されていない例として、

・risk take(リスクを承知で挑戦する)を機会と考える
・機会を「改善の機会」と同一視する

というものがあるそうです。

附属書SLが発行された当時、「リスク及び機会」に関し下記の説明がありました。

・ISOで用いている「リスク」は、専門的・統計的・科学的なリスクを意図していない。
・「機会」は「リスク」の反対概念ではない。
・「リスク及び機会」と表現された趣旨は、マイナスの影響を与える恐れをもたらすものと、
プラスの影響を与える可能性のあるものを、広く示すためである。

近い将来、種々の変化により悪い結果が想定される場合はリスク対応を検討する、良い結果をもたらす変化があれば、その変化の波に上手くのり機会を活用する、という意味で私は理解しています。

「リスク及び機会」のde-coupleに関しては、以下のような詳細項番が検討されています。
6.1 リスク及び機会への取組み
6.1.1 一般
6.1.1.1 リスクの決定
6.1.1.2 機会の決定
6.1.2 取組の計画

正式決定ではありませんので、最終的には現状の詳細項番と同じということもあり得ます。
ISOの組織内でも、リスク及び機会の考え方は統一されていないため、9001でどのような結論がでるか楽しみです。

※メルマガで配信したコラムを修正・加筆したものです