附属書SL箇条解説 5.3役割、責任及び権限

5.3 役割、責任及び権限

トップマネジメントは、関連する役割に対して、責任及び権限が割り当てられ、組織内に伝達されることを確実にしなければならない。

トップマネジメントは、次の事項に対して、責任及び権限を割り当てなければならない。

a)XXXマネジメントシステムが、この規格の要求事項に適合することを確実にする。

b)XXXマネジメントシステムのパフォーマンスをトップマネジメントに報告する。

解説:

マネジメントシステムを効果的に運用するためには、役割を振り分けられた人が、責任・権限を行使する必要があります。

責任と権限の違いについて、規格では定義していませんが、一般的には、責任は「やるべきこと」、

権限は「やってもいいこと」と使い分けられることが多いと思います。

したがって、委譲できるのが権限、委譲できないのが責任と解釈すると良いです。

これらの責任及び権限は、箇条7.4コミュニケーションの要求事項に従って伝達され、箇条9.2内部監査の要求事項に従って適合性を評価し、箇条9.3マネジメントレビューの要求事項に従って総括されることが期待されます。

ちなみに、附属書SLが発行される前は、「管理責任者」の任命が義務付けられていましたが、削除されました。

要求事項で管理責任者の任命を義務付けると、形式的に管理責任者を任命する組織が増え、管理責任者の責任・権限が適切に行使されない状況が多く見受けられたことによります。だれがa)とb)の役割を果たすのが適切かを組織で判断し、しかるべき人に役割を付与することを想定しています。

 

※メルマガで配信したコラムを修正・加筆したものです