8  「おさえておきたい用語」リスク

8  「おさえておきたい用語」リスク

ISOではリスクを「不確かさの影響」または「目的に対する不確かさの影響」と定義し
ています。注記では「影響とは、期待されていることから、好ましい方向、又は、
好ましくない方向にかい離することをいう」と補完してます。

一般的に、リスクという単語を用いる場合、好ましくないこと(マイナス)が起こる
可能性があるときに使いますが、ISOでは、好ましいこと(プラス)が起こる可能性
があるときも含めて定義しています。これは不確かさの影響にはプラス・マイナスが
ありえるから、という理由からです。

しかしながら、ISO規格の中では、「リスク及び機会」という表現を用いています。
原文では、the risks and opportunitiesと表現をしており、冠詞のtheが一つしかあり
ません。「リスク及び機会」で一つの用語としてとらえているためです。
マイナス面だけでなくプラス面にも目を向けてほしいという意図があるためです。

リスク及び機会を平易に表現すると、次のようになると思います。
・放っておくとやばいもの(リスク)
・放っておくともったいないもの(機会)

ここで重要なのことは、どの程度の期間放っておくのか、ということと、どの程度の
メリットまたはデメリットが想定されるのか、ということです。

いずれにせよ、潜在的なメリット・デメリットを想定し、対処すべき「リスク及び機会」
を決定します。つまり、組織の重点課題を決定します。

「リスク及び機会」は単純化すると、「中長期的な視点から対処すべき組織の重点課題
を決定し計画的に取組む」です。事業計画を策定している組織であれば、事業計画に
記載されている重点課題をそのまま利用すればよく、ISOのために事業計画と関係のない
重点課題を設定する必要はありません。
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※メルマガで配信したコラムを修正・加筆したものです