6 内部監査報告書の作成①

6 内部監査報告書の作成①

私が講義をする際、受講者の皆様に伝えていることは、「内部監査員に必要なスキル(技能)が3つある」ということです。
1.監査所見をさがす
2.監査所見を説明する
3.監査所見を文書化する(内部監査報告書の作成)

いくら素晴らしい指摘をしても、被監査者に納得いく説明ができたとしても、適切に文書化できないと内部監査を実施したことにはなりません。
なぜならば、記録をもって活動を検証するからです。ここでは、内部監査報告書の作成について説明します。

内部監査報告書を作成するポイントは、次の2つです。
・だれに見てもらうのか。
・どのような体裁にするのか。

□だれに見てもらうのか
内部監査報告書は様々な人が見る可能性があります。
見る可能性のある人を思いつくままに取り上げると次のようになります。
・被監査者
・内部監査責任者
・監査依頼者
・管理責任者
・審査員
・将来の内部監査員
・トップマネジメント(経営者)
内部監査報告書は「報告書」なので、内部監査報告書を評価するキーマンはだれか?を特定することをお勧めします。
すなわち、「だれに見てもらうことを想定して内部監査報告書を書くか」ということです。
講師派遣研修でこのことを質問しても回答を得られないことが圧倒的に多いです。
皆さんの組織では、内部監査報告書の主たる報告先はだれですか?

私は、トップマネジメントに報告することを想定して内部監査報告書を書くことをお勧めしています。
そうすると、トップマネジメントに評価されるためには、どのような指摘をすべきか、という思考が働きます。
内部監査が好きか嫌いか質問をすると、多くの方は内部監査に対して否定的な意見を持っています。
理由を伺うと、「重箱の隅を突く指摘」「役に立たない指摘」などの意見が散見されます。
トップマネジメントが、このようなどうでもいい指摘をすることを内部監査員に期待しているならば、内部監査員は心を鬼にしてこのような指摘をしなければなりません。
しかしながら、私の知る限りトップマネジメントがこのような指摘を内部監査員に期待することはありません。
では、どのような指摘をするとトップマネジメントは内部監査員を評価するのでしょうか。
それが、内部監査の落としどころであり、内部監査の楽しみでもあります。

※メルマガで配信したコラムを修正・加筆したものです