7 内部監査報告書の作成②
今回は、「内部監査報告書の作成②」として、監査所見の様式について解説します。
講師派遣研修などで、過去の内部監査記録を拝見する機会があるのですが、不適合や観察の書き方が
バラバラで統一されていない事例が数多く見受けられます。不適合と観察の表現が決まっていると、
不適合や観察の判断もしやすくなりますし、どのように記載するか悩む時間が減るので監査の効率化
にもつながります。また、まとめて監査所見をレビューする人の立場からすると、統一された様式に
基づいて記載されているのでレビューもしやすくなります。
「不適合」「観察」の違いが頭の中では分かっていても、その違いを意識して文書化できないと
相手にはこんがらがって伝わってしまいます。「不適合」や「観察」を文書化するときの
フォーマット(体裁)を整えておくことで、モレのない表現が可能です。
「不適合」を文書化するコツは、「〇〇していない」といった具合に否定形で文書化することです。
監査基準である組織のルールが「〇〇すること」となっているのにも関わらず、実施されてい
ないので「〇〇していない」とします。
まれに「〇〇してください」とか「〇〇すること」といった具合に、指示系の文型を用いる組織が
あります。これだと、監査基準が正しいことが前提となっているため、再発防止が機能しなくなります。
監査基準が正しいという保証がない限り、指示系の文書は使わない方が良いです。
「観察」は「〇〇した方がよい」といった具合に、内部監査員による改善提案をさせると良いです。
「〇〇に改善の余地がある」とか「〇〇に懸念がある」といった評論家のような表現は内部監査では
不適切と考えます。
内部監査員が違和感を覚えた事象に対し、「おかしいですよ」とアナウンスだけして
も建設的な議論に発展しにくいです。内部監査を活性化させるためにも内部監査員による改善
提案をお勧めします。改善提案を採用する義務は被監査側にはないので、それをきっかけに
活発な意見交換をされると良いです。審査員が改善提案をするとアウトですが、内部監査員にその
ような禁止事項はありません。
※メルマガで配信したコラムを修正・加筆したものです