「気候変動への考慮」の追補版の対応について

国際標準化機構(ISO)より、気候変動の影響を考慮する必要性に対処するために、
2024年2月23日に、既存のマネジメントシステム規格への追補版が発行されました。

1.追補版の内容
附属書SLの箇条4.1及び4.2に「気候変動への考慮」に関する記述が【追加】されました。
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4.1 組織及びその状況の理解
組織は、組織の目的に関連し、✕✕✕マネジメントシステムの意図した結果を達成する
組織の能力に影響を与える、外部及び内部の課題を決定しなければならない。
【組織は、気候変動が関連する課題であるかどうかを決定しなければならない。】追加

4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
組織は次の事項を決定しなければならない。
-当該マネジメントシステムに関連する利害関係者
-それらの利害関係者のうち、関連する要求事項
-それらの要求事項のうち、✕✕✕マネジメントシステムを通して取り組むもの
【注記:関連する利害関係者は、気候変動に関する要求事項をもつ可能性がある。】追加
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2.IAFとISOの共同コミュケ
追補版の対応に関し、国際認定フォーラム(IAF)と国際標準化機構(ISO)は、
共同コミュケを発表しました。

(1)追補版の意図
・箇条4.1及び4.2の要求事項の全体的な意図は変わらない。
この変更は新しい要求事項ではなく明確化として扱われる。
・他の課題に加えて、気候変動の課題を組織が考慮することを確実にすること。

(2)適合組織への期待
・気候変動の側面とリスクをマネジメントシステムの中で考慮していること。

(3)認証機関への期待
・気候変動が考慮されており、マネジメントシステムに関連する課題であると
判断された場合には、必要に応じて、組織による目標や緩和活動に組み込ま
れていることを確実にすることが期待されている。
・気候変動が関連性のある課題ではないとみなされた場合、組織の判断及び
関連する措置に対するプロセスを確認することが期待されている。

3.適合組織の対応(TBCSの見解)
・追補版が規定している「気候変動への考慮」は、文書化が要求されているわけではないため、
トップインタビューの中で確認されると思われます。
・気候変動の取組みとして組織が実践していることがあれば、マネジメントシステムに
反映させていればよいと思われます。
例)方針、リスク及び機会、目標、力量、認識、パフォーマンス評価、内部監査、マネジメントレビューなど

4.認証機関の対応
認証機関によって、追補版を審査で確認するタイミングは異なります。
各認証機関に問い合わせてください。

※メルマガで配信したコラムを修正・加筆したものです