気候変動を配慮したマネジメントシステムへ

ISO(国際標準化機構)は、9001(品質)、14001(環境)、27001(情報セキュリティ)など
様々な分野のマネジメントシステム規格(Management System Standard:MSS)を提供しています。

複数のMSSを構築・運用する組織が増えたことから、MSSの共通のプラットフォームである
「ISO MSSの共通要素」が2012年に開発されました。

今日、私たちが利用している9001、14001、27001、45001、22000などは、このISO MSSの共通要素をベースに開発されました。

ISO MSS共通要素の特徴に、「上位構造(HLS:High Level Structure)」があり、全てのMSSの目次が10章構成になりました。それ以外に「共通テキスト」「共通用語」が提供されています。

このISO MSS共通要素は、2021年に改訂されました。この改訂は、規格の開発者を対象にした
修正が多く、ISO認証企業にとって重要な改訂はありませんでした。ちなみに、上位構造(HLS)と規定していたものが、「調和させる構造(HS:Harmonized Structure)」に代わりましたが、体勢に影響はありません。

さて、いよいよ本題です。
2023年9月に、ISO MSS共通要素の追補改訂が公表されました。
この追補改訂では、共通テキストに「気候変動への配慮」が盛り込まれました。
具体的には、箇条4.1では「気候変動が関連する課題かどうかを決定しなければならない」、箇条4.2の注記に「関連する利害関係者は、気候変動に関する要求事項を持つ可能性がある」という記述が追加されます。

2024年以降に改訂・開発されるMSS規格から、「気候変動への配慮」が要求事項として追加されることになります。気候変動は人類の課題なので、現時点でも気候変動を配慮している組織も多いと思います。
要求事項は、具体的にどの程度の配慮が必要か、ということは言及しませんので、気候変動によるリスクを整理し、対処すべき課題があれば取組めばよいと思います。

※メルマガで配信したコラムを修正・加筆したものです