5 改善の提案
内部監査員による「改善提案」を認めている、または、推奨している組織が少ないのには、いつも驚いています。
貴社では、内部監査員による「改善提案」を監査目的に設定し、推奨していますか?
「内部監査員が改善提案していいんですか?」という質問を受けることがあります。
「改善提案してもよいです。していけない理由があれば教えてください」というのが私の解答です。
ISO規格には、「内部監査員が改善提案してはいけない」という要求事項はありません。
マネジメントシステム監査のガイドラインである、ISO 19011には以下の記述があります。
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箇条6.4.8 監査所見の作成(抜粋)
個々の監査所見には,根拠となる証拠を伴った適合性及び優れた実践事例,改善の機会,並びに被監査者
に対するあらゆる提言を含めることが望ましい。
箇条6.4.9.1 最終会議の準備(抜粋)
c)監査計画で規定している場合には,提言を作成する。
箇条6.9.4.2 監査結論の内容(抜粋)
監査計画に規定している場合には,監査結論を,改善のための提言又は今後の監査活動につなげること
ができる。
箇条6.4.10 最終会議の実施(抜粋)
監査目的で規定している場合は,改善の機会についての提言をしてもよい。提言には,拘束力がないこ
とを強調しておくことが望ましい。
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「改善の機会」の定義はありませんが、改善することが望ましい事柄、という程度の理解で良いと思います。
内部監査員は審査員と異なり評論家であってはいけないと思います。
改善すべき事柄が見つかったときに、「〇〇の懸念があります」と他人事な指摘ではなく、「〇〇を✕✕にするなど改善したらどうですか?」
と具体的な改善提案をした方が内部監査は活性化します。また、被監査者と内部監査員の間で建設的なコミュニケーションが可能になります。
ISO 19011 6.4.10最終会議に規定されているように、内部監査員による改善提案は「強制するものではない」というスタンスが良いです。
被監査者に受け入れられなかったとしても、マネジメントレビューにて経営者が提案内容を確認します。
有益な改善提案であれば、トップの指示でその改善策が取り上げられるはずです。
ぜひ、内部監査員による改善提案を監査目的に追加し、内部監査を活性化させてください。
※メルマガで配信したコラムを修正・加筆したものです