4 ISOマネジメントシステム共通要素のポイント②

ポイント4 「パフォーマンス、意図した成果の重視」

成果の伴わないマネジメントシステムからの脱却をめざし、箇条9「パフォーマンス
評価」が規定されました。 従来のプロセス志向を否定している訳ではなく、期待
する成果の確認を行い、組織の事業計画の達成に寄与するマネジメントシステムに
してほしいという願いが込められています。

PDCAのCに相当する箇所ですが、皆さんの組織ではPDCAが回っているでしょうか。
PDCAのコツは、C(評価)だと思います。評価結果を拝見すると、「感想」になって
いる組織が多いため、PDCAが機能していないように見受けられます。
「評価=課題の特定」と言い換えることをお勧めしています。そうすれば、計画通
りにうまくいっていたとしても、「どうすればもっとよくなるのか」という前向き
な課題を見つけることができます。

ポイント5 「ITの著しい発展を踏まえた情報管理の導入」

ISOMS規格で一番古いのは、1987年に発行されたISO9001です。当時、情報は紙媒体
で管理するのが一般的であったため、文書管理、記録の管理と要求事項も分けられ
ていました。ちなみに、文書(document)は計画に関する情報、もしくは改訂
(更新)といった変更管理ができる情報です。他方、記録(record)は結果に関す
る情報で、変更管理ができないという特徴があります。

一人に1台のパソコンが普及する今日において、すべての情報を紙媒体で管理し続け
る組織は少数で、多くの組織は電子データを併用しています。
文書管理や記録管理という用語は、紙媒体での管理を連想させるため、ISOMS共通要
素ではこれらの用語を廃止し、文書化した情報(docmented informaiton)と表記す
るようになりました。documentedという単語を用いたのは、「管理対象の情報」と
いう意味を強調したいという意図があるそうです。
したがって、「文書化した情報」ではなく「管理すべき情報」と捉えるとしっくり
きます。皆さんの組織では、管理すべき情報がもれなく管理されていますか?

ポイント6 「トップマネジメントの関与の強化」
多くの国で、ISOMSにおけるトップマネジメントの関与の低さが課題でした。
そこで、ISOMS共通要素では、トップマネジメントの関与を高めることを意図し、
箇条5リーダーシップを設けました。

マネジメントシステムは自動車の運転と通じるところがあります。高級車に乗って
いても、ドライバーの腕が悪ければ目的地に安全に正確に到着することはできません。
マネジメントシステムにおけるドライバーはトップマネジメントです。
きちんとハンドリングをし、ISOMSを経営ツールとして活用し成果を出すことが期待
されています。
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※メルマガで配信したコラムを修正・加筆したものです