12 「おさえておきたい用語」目標

12 「おさえておきたい用語」目標

ISOマネジメントシステムは箇条6.2で目標(objective)を設定することを要求しています。
目標の原文である「objective」は、規格及び発行された時期によって翻訳が異なっている
ため分かりにくいです。また、目標(objective)を設定する対象を全部門としなければな
らないのか、など解釈にバラツキがあります。

目標(objedtive)の定義は、「達成すべき結果」です。
ISO9001や14001の2015年版ではobjectiveを「目標」と翻訳しています。
ISO27001の2013年版では「目的」と翻訳しています。同じISO14001でも2004年
版では「目的」と翻訳されており混乱しやすいです。

ISO9000では目標の注記として、「戦略的、戦術的又は運用的であり得る」、「目標は
意図する成果、目的、運用基準など別の形で表現することができる」と記載されて
います。

ということで、objectiveをどのように翻訳するかは、最終的には組織に委ねられ
ていることが分かります。

ISOMSは年一回の審査(維持審査や更新審査)があることから、慣例的に「年度ごと
の目標設定」をしている組織も多いと思います。実は、これが目標設定の自由度を
狭めている原因ではないかと思います。経営目標には中長期の戦略的な目標、単年度
の戦術的な目標を設定している場合が多いです。本来ならば、ISOMSでも中長期の目標
設定、短期の年度目標を設定するのが望ましいです。このような考え方が背景で
ISO14001の2004年版では、「環境目的(objective)」、「環境目標(target)を設定
することが要求されていました。

続いて、目標(objective)の設定範囲について解説します。
ISO9001と14001では、「関連する機能、階層、プロセス」で設定することが要求され
ています。原文の「function」を「機能」と翻訳しています。従来は、「部門」と翻訳されていたこと
から、全部門での目標設定が必用と解釈する人が多かったです。
必要なところに、必要な目標を設定すればよいのであって、目標設定する必要
がなければ(達成すべき結果が明確でなければ)目標設定しない、というシンプルな発
想が必要です。やって当たり前、できて当たり前のことは目標には相応しくないありま
せん。ちなみに、ISO27001:2013ではfunctionを「部門」と翻訳されており、ややこしい
のですが、上記の理由から、部門ごとに目標設定する必要ありません。
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※メルマガで配信したコラムを修正・加筆したものです